上高地 河童橋(イメージ)
国内外問わず訪れる人を魅了する日本の山岳リゾート地「上高地」。新緑の時期や夏の避暑地として人気を集めていますが、秋の上高地にも「この季節に訪れたい」と思える風景が随所に広がります。今回は紅葉の見ごろや秋ならではの風景、おすすめ散策ルート、気候や服装、などの訪れる前に知っておきたいポイントをまとめ、秋の上高地をより楽しむためのヒントをご紹介します。
※本記事は海外旅行者向けに制作されたものですが、日本国内の皆様でもお楽しみいただけます
秋の上高地の魅力とは?
1.上高地の概要
上高地 河童橋(イメージ)
長野県松本市・安曇(あづみ)地方に位置する上高地は、言わずと知れた日本の観光名所。標高約1,500 mを誇る山岳景勝地で、北アルプスの玄関口として知られています。澄んだ梓川の流れや穂高連峰の山並みなど、豊かな自然に囲まれたエリアで、多くの登山客・ハイキング客が訪れます。とりわけ訪れる人を魅了するのが、特徴的な色と透明度から「梓川ブルー」ともいわれる梓川の清流。上高地には水が湧き出る場所も多く、水面を覗くと川底から湧き出る水やイワナを目にすることができ、豊富な水量は上高地の観光施設で活用されています。
2.紅葉の特徴
カラマツと梓川(イメージ)
避暑地としても人気のある上高地は、一足早い9月下旬ごろから紅葉シーズンがはじまります。広葉樹の紅葉や、黄金色のカラマツと梓川の美しいコントラスト、穂高連峰の紅葉のグラデーション。標高の高い場所から色付きが始まり、次第に谷あいや川沿いに広がっていく様子や、大正池などの湖面に映る紅葉と山影が、上高地ならではのドラマチックな景観を作り出します。タイミングが良ければ、冠雪した穂高連峰と紅葉の絶景を楽しめます。
3.秋ならではの景観
朝もやの大正池(イメージ)
霧氷(イメージ)
冬に近づくにつれ日照時間が短くなり、上高地の朝晩は冷え込みます。早朝には霧が立ち込めることも多く、写真では表現できない幻想的な風景が広がります。さらに11月初旬の早朝には、霜が降りてうっすら白くなった河童橋や、樹木に霜が薄く付く「霧氷」を見られることも。朝日に照らされてキラキラと輝く霧氷は、日が昇るとすぐに溶けてしまうため、早朝にしか見られない希少な光景です。
紅葉の見ごろと気温
1.上高地の紅葉の見ごろ
焼岳とカラマツ(イメージ)
上高地の紅葉は9月下旬ごろから徐々に始まり、例年10月中旬~10月下旬に見ごろを迎えます。広葉樹の紅葉・黄葉が10月中旬頃から始まり、カラマツの黄葉は10月下旬~11月上旬にかけて色づきます。閉山期近くなるとカラマツの葉が地面を染める様子が見られることも。紅葉は天候・気温によって前後するため、色づきの進み具合は訪れる前にライブカメラなどでチェックしておくのがおすすめです。
2.紅葉時期の気温・天候の特徴
※上高地ビジターセンター(環境省)発表のデータより算出 ※2022年の平均値
秋の上高地では、朝晩の冷え込みが一段と厳しくなります。最低気温が9月下旬には一桁台、10月には氷点下を記録することも。11月は最高気温も10℃前後になり、吹き抜ける風はかなり冷たくなります。また、9月は台風の影響で雨になる日も多く、11月は本格的な降雪になることもあります。10月は比較的天候が安定していますが、山間部ゆえに天候が急変しやすいため雨具は必ず持参し、晴れた日でも服装選びには余裕を持つことが重要です。
上高地のおすすめ紅葉スポットTOP5
1.河童橋と梓川の絶景
上高地 河童橋(イメージ)
河童橋 は上高地を象徴する吊り橋。梓川の透明な流れと鮮やかな紅葉、背後に聳える穂高連峰と、美しい自然に溶け込む吊り橋は言わずと知れたフォトスポットです。橋の上から眺める穂高連峰と紅葉に包まれた梓川も必見。周囲にはホテルや食事処があり、上高地で最も賑わうエリアです。
上高地グルメを味わおう!
河童橋周辺にはカフェやお食事処が多く、食事や軽食に、信州名物のりんごを使ったアップルパイなど、美味しいものがたくさん。暖かい秋の気候の中、テラス席でカフェを楽しむのもおすすめです。
2.大正池の「逆さ紅葉」
大正池(イメージ)
大正池 はかつて焼岳の噴火によって誕生した池です。穏やかな池面に山々と紅葉が映り込み、美しい逆さ紅葉を楽しめます。池の周辺は砂浜のようになっていて、この白い砂のようなものは崩れた花崗岩です。大正池や梓川の特徴的な青は、この花崗岩の反射で青く見えています。
大正池の枯れ木
大正池にはひときわ目立つ「1本だけ残る枯れ木」 があります。池ができた影響で木々が水没し、約50年前には枯れ木が沢山あったそうです。腐敗が進むことで減ってしまい、現在では残り1本になりました。焼岳が背景に映る人気の写真スポットですが、みられるのは今だけかもしれませんね。
3.明神池の静寂と神秘的な紅葉
明神池(イメージ)
明神岳の直下にたたずむ、穂高神社の神域「明神池」。古くは「鏡池」とも称され、池を囲む針葉樹林が黄金色に色づく中、澄んだ水面がその姿を見事に映し出します。日本アルプス総鎮守と崇められる、穂高神社の奥宮とともに訪れたいパワースポット。落ち着いた場所で紅葉を楽しみたい方にぴったりです。
明神池お船祭り
毎年10月8日、御船神事として行われる穂髙神社奥宮例大祭。山の安全を神に感謝するお祭りです。龍頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)の2艘の御船で、平安装束に身を包んだ神官らが明神池を周遊します。
4.田代池と水辺の景色
田代池(イメージ)
田代池も大正池同様、焼岳噴火でできた穏やかな湿原・湖畔エリア。昔は水深が5mもあったそうですが、年月をかけて土砂が流れ込んだことで水深が浅くなり、鉄分を多く含んだ黄色の土が紅葉と相まって美しい景観を作り出しています。水面に映る紅葉や水辺を彩る植物を眺めながら、ゆったりと秋を感じるひと時を過ごせます。
上高地の美しい自然を象徴する植物
秋の上高地で、水面を覗くと一際目立つ鮮やかな緑色の水草「バイカモ」 。清流を好み、漢字では「梅花藻」と書くように、初夏には梅に似た花をつけます。また、樹木に絡みつく「サルオガセ」 はきれいな空気でしか育たないエアープランツ。上高地の美しい自然を象徴する植物を、ぜひ見つけてみてくださいね。
5.上高地温泉ホテル前で霞沢岳一望
上高地(イメージ)
上高地の山旅を満喫する散策ルートの中で、霞沢岳全体を望めるのが、上高地温泉ホテルと上高地ルミエスタホテルの前の遊歩道です。カラマツの紅葉や、澄んだ梓川と合わせて一望できるため、足を止めて写真を撮る人も多い撮影スポットです。
ウェストン碑
この人のおかげで今の上高地がある、と言っても過言ではないのが、英国人宣教師・登山家として知られたウォルター・ウェストン。上高地の素晴らしさを本に記したことで、日本北アルプスが世界中に広まることになりました。その功績を称えて、上高地には「ウェストン碑」が設置されています。
モデル散策ルート
上高地バスターミナル(イメージ)
上高地には3か所のバスターミナルがあり、「大正池」「帝国ホテル前」「上高地(河童橋付近)」で降車して散策をするのが一般的です。
〈初心者向け〉
距離:約4km、約80分
大正池バス停→大正池→田代池・田代湿原→ウェストン碑→河童橋→上高地バスターミナル
〈しっかり歩きたい人向け〉
距離:約9.5km、約3時間
大正池バス停→大正池→田代池・田代湿原→ウェストン碑→河童橋→明神池→河童橋→上高地バスターミナル
時間帯や自身の体力に合わせて散策ルートを選びましょう。
秋の服装・持ち物ガイド
秋の上高地散策では、重ね着が基本。フリース・ダウンジャケット・ウインドブレーカー、防水・防風性のある上着は必携です。特に朝早く出発する場合や11月近くに訪れる際は、手袋・帽子・ネックウォーマーなどの防寒具も準備しましょう。散策時に体温が上がることを考えて、インナーは通気性の良いものがおすすめです。また、靴はハイキングシューズやトレッキングシューズ、もしくは滑りにくい靴底のしっかりしたものを。雨具・予備のバッテリー・水分補給・散策時の軽食も忘れずに。
秋の上高地を楽しむなら宿泊もおすすめ!
上高地周辺には、ホテルや山小屋、温泉宿、そして手ぶらで楽しめるキャンプ場やコテージまで、多彩な宿泊スタイルがあります。山の一夜を過ごすことで、夕暮れや朝の静けさ、満点の星、日帰りでは味わえない余白の時間など、上高地の魅力を一層知ることができるでしょう。また、上高地は日帰りでは出会えない絶景もたくさん。ぜひ視野に入れてみましょう。
魅力① 星空観賞
星空(イメージ)
標高の高さと空気の澄み具合から、天気が良ければ満天の星を出会うことができます。宿から出た直後は目が暗闇に慣れていないため、十分に目を慣らしてから夜空を眺めましょう。ホテルなどの灯りがあっても多くの星を見ることができますが、天の川を見たいならヘッドライトを持って、ホテルの灯りが届かない場所へ。山脈の影と美しい星空は、上高地に宿泊した人にだけしか見られない、特別な光景です。
魅力② 早朝の絶景
早朝の上高地 河童橋(イメージ)
宿泊するもう一つの魅力は早朝の散策。大正池に立ち込める朝もや、朝日に照らされる穂高連峰など、早朝ならではの光景が広がります。かなり冷え込む時間帯ですが、日の出後の太陽の温もりや、秋の朝特有のひんやりとした空気に包まれると清々しい気持ちになります。日の出を楽しんだ後は、観光客が増える前に周辺を散策するのもおすすめです。
上高地へのアクセスと注意点
上高地にはマイカー規制が実施されており、一般車で直接のアクセスはできません。
〈車で〉
長野道・松本IC/または岐阜県側から平湯を経由し、沢渡駐車場・平湯駐車場などに車を停め、シャトルバスまたはタクシーで上高地バスターミナルへ向かうのが一般的なルートです。
〈公共交通機関で〉
新宿駅から特急あずさや高速バスに乗って松本駅へ。松本駅からはアルピコ交通上高地線で新島々駅。路線バス(要予約)で上高地バスターミナルへ。
数は少ないですが新宿や東京、名古屋、大阪からの直通バス(要予約)も出ています。
紅葉シーズンはバス・タクシーともに混雑が予想されるため、出発時間や駐車場の予約・早めの移動が安心です。
まとめ
上高地(イメージ)
秋の上高地は、広葉樹やカラマツの紅葉に雪化粧をした穂高連峰など、夏とはまた違う素晴らしい風景を見せてくれます。宿泊すれば満天の星や朝もや、霧氷などの風景に出会えることもあります。美しい梓川の清流沿いに散策すれば、日本の美しい自然を満喫できること間違いなし。移りゆく日本の山岳の風景を気軽にみられる、上高地ならではの景色を体験しに、ぜひ訪れてみてくださいね。
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