旅と人生を楽しむ スマートエイジング®術 旅と人生を楽しむ スマートエイジング®術

なぜクラブツーリズムの旅は“安全”に“安心して”楽しめるのか。
元気に健やかな生活を送ることに良い影響を与えているのか。
その理由を全12回の連載コラムで皆様にお届けしていきます。

※スマート・エイジングとは、「エイジングによる経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟すること」を指します。東北大学が2006年から提唱している少子化・超高齢社会における新しい概念で、東北大学が商標を有しています。※登録番号 第6127103号

【第4回】

有酸素運動と筋トレでイライラ解消と前向き気分を

サーキット運動30分でイライラ解消効果を初めて学術的に検証

今年8月に東北大学加齢医学研究所と女性専用フィットネス「カーブス」を運営する(株)カーブスジャパンが興味深い共同研究成果を発表しました。

それは中高年女性が30分のプログラムを一回行うだけで、認知力の一種である「抑制能力」(がまんする力)と「活力」(ポジティブな気分)が即時的に向上すること(即時効果)を初めて学術的に明らかにしたことです。この研究の成果はFrontiers in Aging Neuroscience 誌に掲載されています。

即時効果とは、その介入行為(ここでは運動)を行うとすぐに現れる効果のことを言います。これまでの先行研究で有酸素運動は高齢者の認知機能向上に即時効果があることは知られていました。しかし、カーブスのようなサーキット運動の即時効果の詳細は、これまでほとんど研究がなされていませんでした。

研究では「無作為比較対照試験」という手法でサーキット運動による即時効果の検証を行ないました。これは医療分野で用いられる科学的根拠の質(エビデンスレベル)の高い研究手法です。

具体的には中高年女性64人を、プログラムを実施する「サーキット運動群」と運動をしないで待機する「対照群」に分け、運動の前後で認知機能検査と心理アンケートを行い、その変化量を比較することで、サーキット運動の即時効果を調べました。

解析の結果、サーキット運動群の方が対照群よりも、抑制能力と活力が向上することが明らかになりました(図)。

抑制能力とは感情や行動のコントロールに関わる機能のことを言います。例えば、ちょっとしたことでイライラしないよう感情を抑え、人間関係を良好に保つ能力のことです。
また、活力とは物事を前向きにとらえ、毎日をポジティブに楽しく過ごす能力のことです。

過剰な自粛より運動して基礎疾患を改善する方が有用

コロナ禍が続く中、精神的なストレスがたまり、感情的になったり落ち込みやすくなったりする人が増えています。こうした状況下ではカーブスのような有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた運動を行うのが効果的です。

ところが、新型コロナウイルス感染症拡大の初期段階の本年2月に千葉のスポーツジムの温浴施設で計5人の感染が発覚して以来「スポーツジムはクラスター業種」のイメージがあり、何となく避けている人も多いようです。

また、政府・自治体が「高齢者は感染すると重症化しやすい」と高齢者を十把一絡げに扱う発言をし続けているため、スポーツジムに行かないどころか、外出も控え気味になりがちの方も多いようです。

しかし、連載第1回でお話ししたように、重症化リスクの高いのは「高齢の人」ではなく、「基礎疾患を持っている人」なのです。

今回の研究成果が示しているのは、過剰な自粛で運動不足になって精神的ストレスを溜めるより、感染予防策をしっかり講じている場所で科学的に効果検証された運動を行うことの有用性です。

そうした運動により前向きな気持ちで基礎疾患を改善・予防できれば、むしろ感染症による重症化リスクも下げることができるのです。

東北大学プレスリリース 1回30分のサーキット運動で中・高年期女性の認知力と活力が向上! サーキット運動プログラムの即時効果を検証

◆ここがポイント◆

・中高年女性が30分のプログラムを1回行うだけで「抑制能力(がまんする力)」と、「活力(ポジティブな気分)」が即時的に向上することが、東北大学加齢医学研究所と女性専用フィットネス《カーブス》の共同研究で学術的に明らかになった。
・過剰な自粛による運動不足で精神的ストレスを溜めるよりも、感染予防策をしっかりと講じている場所で、科学的に効果検証された運動を行うことが有用である。

【前回の復習】
◇基礎疾患の原因は、生活習慣病
・厚労省がとくに注意喚起している疾患の上位は、①糖尿病、②心不全など慢性の循環器疾患、③肺気腫などの慢性の肺疾患

◇基礎疾患の改善策は?
・疾患の内容・程度に応じた適切な改善策に取り組む
・栄養管理に工夫する ←「スーパー和食」が有効
・運動習慣を身につける

連載コラム

村田裕之先生

東北大学ナレッジキャスト㈱常務取締役
東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター特任教授
東北大学感染症共生システムデザイン学際研究重点拠点委員

新潟県生まれ。87年東北大学大学院工学研究科修了。
日本のシニアビジネス分野のパイオニアで常に時代の一歩先を読んだ事業に取り組む。経済産業省や内閣府委員会委員など多くの公職を歴任。高齢社会研究の第一人者として著書も多数。近著「スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣」(徳間書店)が好評。

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