クラブツーリズム TOP「旅の友」Web版【東日本版】科学で旅はもっとおもしろい。 第9回 極寒の世界

科学で旅はもっとおもしろい。 第9回 極寒の世界

Science of Frozen

探究心や好奇心は、いつも胸に抱いていたいもの。
旅のあれこれを科学的にひも解いて、旅をもっと楽しもう。

地球でいちばん寒いところはどこ?

地球上で一番寒いところは、どこだろうか。北極または南極という想像は簡単につくと思うが、答えは南極。北極に比べ南極の方が平均気温20℃ほど低く、南極内陸のボストーク基地では、1983年に世界一低い-89.2℃を観測した。

南極の方が寒い理由は主に2つある。南極は97%が厚い氷で覆われている大陸だが、北極は海に氷が浮かんでいる状態。海水の凝固点(液体から固体に変わる温度)は-1.9 ℃ だが、塩分濃度や海流により温度が変わる。北極や南極の平均海水温は-2℃ほどで、凝固点より低いが、それでも、温度の変化が少ない海に浮かぶ北極は、大陸の南極に比べ冷えにくい。また、南極氷床の厚みは平均で約2450m、一番厚いところで約4000mと標高が高いため、北極よりも気温が低くなりうるのだ。

アデリーペンギン(写真)とコウテイペンギンが生息する南極

氷点下なのに、どうして魚は凍らない?

そんな南極や北極にも動物は生息している。氷点下の世界で、彼らはなぜ凍らずに生きていられるのだろうか。ホッキョクグマやペンギンなどの哺乳類は分厚い脂肪を蓄えることで寒さをしのいでいる。だが、魚は少し特殊だ。熱帯や温帯の海に生息する魚が-0.8℃ほどで凍ってしまう一方、南極に生息するノトセニア亜目の魚は-2.2℃まで凍らない。ノトセニア亜目の魚は体液中に「不凍タンパク質」という特別なタンパク質を自ら作り出し、このタンパク質が排尿などで体外に出ないような腎臓構造になっている。

この不凍タンパク質は氷結晶を成長させない働きをする。体内に氷結晶が形成されると、細胞を傷つけてしまい、生命活動を維持できなくなるため、結晶の成長を抑制することは重要な働きだ。

不凍タンパク質は、冷凍食品に使用すれば、食感や味などが凍結によって落ちるのを防ぐ効果がある。医療や化粧品など多分野においても技術応用が期待されているタンパク質だ。 

寒さがまだ続く今、極寒の未知の世界に思いを馳せてみてはいかがだろうか。北海道の流氷の下、アラスカや北欧の氷河地帯にも、寒さをしのぐ一風変わった生き物が存在しているはずだ。

知っているようで知らない、温度の単位
摂氏・華氏と絶対温度ケルビン

摂氏(℃)

日本で日常的に使われている温度の単位、摂氏は水の凍り始める温度を「0」、水の沸騰する温度を「100」として100等分した尺度で、1742年にスウェーデンの物理学者セルシウスが提案。

※小数点以下は四捨五入

華氏(℉)

現在ではアメリカやイギリスなどで使われている温度の単位。ドイツの物理学者ファーレンハイトによって1724年に提案された。当時、最も低い温度と思われる塩化アンモニウムと氷と水で作った寒剤を「0」、人の体温を「96」として目盛りを作った。

絶対温度(ケルビン・K)

人の体温や水を基準にした華氏と摂氏には、科学技術の物理的観念から不都合が生じ始め、1968年に絶対温度が定義された。1787年にフランスの物理学者シャルルが、圧力が一定の時、気体の体積は1℃上昇するごとに273分の1ずつ増えることを発見。理論上-273℃で気体分子の活動が停止、運動エネルギーがなくなり、これ以下の温度は存在しなくなる。この温度(絶対零度)を「0」とした単位。

青く輝く氷河・野生動物・偉大な自然「アラスカクルーズ」
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