20年の旅路が生んだ添乗員の極意
ツアーで旅はもっと楽しくなる

公開日 / 2026.03.18更新日 / 2026.03.18

団体旅行の楽しさの裏には、添乗員のさりげない気遣いが欠かせません。アクシデント時の対応から観光中のちょっとした提案まで、訪問国数130カ国・添乗歴20年のベテラン添乗員、久保田朋子(くぼた・ともこ)さんに印象的なエピソードを伺いました。思わず「さすが!」と感じる“神対応”の裏側に迫ります。

添乗員は“エンターテイナー”。旅をもっと楽しんでもらうために

―― 団体旅行の添乗で、特に気を配っていることは何ですか?

「一番意識しているのは、“お客さまを名前で呼ぶこと”です。最初はなかなか覚えられないこともあったのですが、今ではほとんど覚えられるようになりました。私自身“添乗員さん”と呼ばれるのがあまり好きではないんです。だからこそ私もお客さまを名前で呼びたいと思っています。

それから、アクシデントが起きたときには必ず情報を共有するようにしています。たとえば飛行機の遅延。『すぐ飛ぶのか、1時間後なのか、まだ未定なのか』……と、待たされているお客さまにとっては、状況がわからないことが一番ストレスだと思うんです。だから逐一、わかる範囲で必ずお伝えします。

大切なのは、“壁を作らないこと”なんです。名前を呼ぶのも説明をきちんとするのも、すべてはコミュニケーションを取りやすくするため。そうすればお客さまも気軽に質問できますから」

―― 質問しやすい添乗員さんだと、ありがたいです!

「私はお客さまと行動をともにするようにしています。食事もご一緒しますし、飛行機を待つ間にも声をかけたり、なるべくみなさんにまんべんなくご挨拶するようにしているんです。せっかく一緒に遠くへ出かけるのですから、楽しんでいただきたい。

添乗員はある種のエンターテイナーでなくてはいけないと思っています。どうすればお客さまに“楽しい思い出”を残していただけるか、常に考えながら仕事をしています」

とにかくスピードが命。トラブルが起きても前向きに対応

―― 団体旅行でよく起きるトラブルには、どのようなものがありますか?

「キャンセルや飛行機の遅延などはよくあります。そういうときは、もう時間との勝負。わかった瞬間に『説明はあとでするので、まずは振替手続きに行ってきます!』と動きます。とにかく一秒でも早く対応しないといけないんです。

よくあるケースで……。今年だけでも2回経験しました。飛行機のチケットを取り直し、必要であればホテルや食事の手配まで。少しでも出遅れるとすぐに長蛇の列ができてしまうので、とにかく一番に並んで、お客さまを待たせないようにしています」

―― 飛行機以外でのトラブルについてはいかがですか?

海外旅行といえば、長い旅になると思いますが、体調不良などはよくありますか。

「もちろんあります。体調不良で病院に行くケースもあります。専門的なことは私では対応できないので、ご希望があれば医療通訳を手配します。

トラブルが発生したときは冷静に回避しつつお客さんの不安を取り除くのも私たちの仕事。最終的には『楽しい旅行だった』と思ってもらえるように、最善をつくします」

―― 特に大変だったトラブルは?

「飛行機に搭乗しようとしたお客さまが、予約から落ちていたことがありました。搭乗間際に『今日はオーバーブックで乗れない』と言われて、本当に驚きましたね。結局2時間ほど粘って交渉し、なんとか乗せてもらいましたが……。

とにかく“お願い”することも大切です。上手にコミュニケーションをはかっていくと、意外となんとかしてくれるものです(笑)。お願いの仕方が大切だと思います」

一つずつ不安をクリアして、団体旅行をもっと楽しもう!

―― 団体旅行の経験が少ないお客さまがよく感じられる不安にはどんなものがありますか?

「出発前にお電話でご案内するタイミングがあるのですが、そのときに『団体旅行は初めてですが大丈夫でしょうか?』とよく聞かれます。そのときは『私がいますから大丈夫ですよ』とお伝えしています」

―― 特におひとりさま参加は緊張されそうですね。

「そうですね。その場合は、同じくおひとり参加のお客さまをさりげなく引き合わせて、『この方もおひとり参加なんですよ。ご一緒に楽しみましょうね!』とご紹介したり。お客様同士をうまく引き合わせながらも、それぞれのプライバシーを大切にしています。

ありがたいことに今まで壁を作るお客さまはあまりいらっしゃらなくて、みなさん自然と打ち解けてくださいます。
いきなり初日からではなく、食事の場などリラックスしたタイミングで会話を広げていくと、キャッチボールのように自然と盛り上がって、初参加の方も少しずつ輪に入っていけるようになります。私はその“架け橋”になれればと思っています」

―― そうした気配りがあると、旅行中も安心して過ごせますね。

「みなさまに安心して過ごしていただけるように、ツアー配布用の“旅のしおり”とは別に、私独自の“オリジナルしおり”を手書きで作っています。
ここには、配布用のものだけではわからない情報を入れています。例えば、『何時間歩くの?』『お手洗い休憩はあるの?』『ここは山道じゃないの?』など、お客さまが知りたいだろうな、という情報をフォロー。1日ごとにA4サイズの紙にまとめて、前日に渡しています。手間はかかるのですが……手書きだと頭に入りやすいですし、ずっと続けています」

―― 最後に「これから団体旅行に参加してみたい!」という方へのメッセージをお願いします。

「旅は、行く国によってさまざまです。初めてだと不安も多いと思います。でも、不安を抱えたまま参加するのは本当にもったいないんです。私たちは旅のプロですので、きっとお役に立てます。

やりたいことが100あったとしたら、すべてを叶えられるわけではないかもしれませんが、それに近づけるようにお手伝いをするのが私たちの仕事。“100に近づける旅”をみなさまにお届けしたいので、どんなことでも遠慮なく聞いてくださいね」

※記事内で紹介しているエピソードは取材当時の体験談であり、すべてのお客さまに同様の対応を保証するものではありません。クラブツーリズムでは状況に応じて常に安心・安全を第一にサポートしています。