

原田 寛(はらだ・ひろし)- 1948年東京生まれ。日本全国の古都や歴史の町並みを中心に撮影活動を続け、鎌倉の歴史と文化、自然の撮影をライフワークとしている。主な作品集に「鎌倉」、主な著書に「図説 鎌倉伝説散歩」。現在、日本写真家協会(JPS)会員、日本写真協会(PSJ)会員、鎌倉市観光協会理事。鎌倉市在住。



撮影場所:妙本寺のノウゼンカズラ [鎌倉]


このように、曇りの日、晴れの日の特徴を生かして撮影することも、花の表情を豊かに表すポイントです。作品例Aは曇りの日に撮影したノウゼンカズラ、作品例Bは晴れの日に撮影したノウゼンカズラです。同じ花であっても、ずいぶんと印象が違うことがおわかりいただけるでしょう。ノウゼンカズラは赤朱色、淡いオレンジ、桃色、黄色など、華やかな色の花を付けますが、そのやさしい表情を出すには曇りの日が最適です。ただし、晴れならば晴れの日のよさを生かし、真っ青な空をバックに、コントラストの強い鮮やかな画面に仕上げるという方法をとりましょう。



作品例Cは早朝に撮ったハス、作品例Dは昼に撮ったハス。この写真でもわかるように、ハスは開きはじめこそ、美しさが映える花といえます。また、スイフヨウのような花は、朝は白い花ですが夕方には紅い花へと変わっていきます。時間帯によって花も変化していくのですね。朝に美しい花もあれば、夕方になると勢いを取り戻す花もあります。花の変化を察知し、その花がもっとも美しく映える時間に撮影することが大切です。また、天候ともかかわってきますが、晴れの似合わない花は昼間ではなく、太陽の光が弱くなる夕方に撮影したり、山に囲まれた場所など直射日光ではない光を探して撮影するとよいでしょう。

撮影場所:龍口寺五重塔 [藤沢]
これからの季節は、どんどんと日差しが強くなっていきます。そこで、日差しを生かす方法もここで学んでおきましょう。太陽があたると当然、影ができます。すると、建物の影になる部分は極端に暗くなり、撮影が難しいと考えがちです。しかし、夏は太陽の光が真上からあたりますので、地面がレフ板(光を反射させるための白や銀色の板)の役割を果たします。つまり、太陽の光が地面に反射して、影となった場所に下から光があたることになります。日差しの強い夏は、屋根の下など暗い場所を撮るのに絶好のチャンス。作品例Eをご覧いただくと、屋根の下の繊細で複雑な彫刻がよく見えると思います。このように、冬などは撮影が難しい影に入った被写体を撮影するのに、夏の日差しは一役かってくれるというわけです。


